第2部:食事療養及び生活療養の費用額の算定

4 食堂加算

  • (1)食堂加算は、入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の届出を行っている保険医療機関であって、(2)の要件を満たす食堂を備えている病棟又は診療所に入院している患者(療養病棟に入院している患者を除く。)について、食事の提供が行われた時に1日につき、病棟又は診療所単位で算定する。
  • (2) 他の病棟に入院する患者との共用、談話室等との兼用は差し支えない。ただし、当該加算の算定に該当する食堂の床面積は、内法で当該食堂を利用する病棟又は診療所に係る病床1床当たり0.5平方メートル以上とする。
  • (3) 診療所療養病床療養環境加算1、精神療養病棟入院料等の食堂の設置が要件の一つとなっている点数を算定している場合は、食堂加算をあわせて算定することはできない。
  • (4) 食堂加算を算定する病棟を有する保険医療機関は、当該病棟に入院している患者のうち、食堂における食事が可能な患者については、食堂において食事を提供するように努めること。

5 鼻腔栄養との関係

  • (1)患者が経口摂取不能のために鼻腔栄養を行った場合は下記のとおり算定する。
    • 【ア】薬価基準に収載されている高カロリー薬を経鼻経管的に投与した場合は、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)医科診療報酬点数表区分番号「J120」鼻腔栄養の手技料及び薬剤料を算定し、食事療養に係る費用又は生活療養の食事の提供たる療養に係る費用及び投薬料は別に算定しない。
    • 【イ】薬価基準に収載されていない流動食を提供した場合は、区分番号「J120」鼻腔栄養の手技料及び食事療養に係る費用又は生活療養の食事の提供たる療養に係る費用を算定する。
           【イ】の場合において、流動食(市販されているものを除く。)が特別食の算定要件を満たしているときは特別食の加算を算定して差し支えない。薬価基準に収載されている高カロリー薬及び薬価基準に収載されていない流動食を併せて投与及び提供した場合は、【ア】又は【イ】のいずれかのみにより算定する。
  • (2) 食道癌を手術した後、胃瘻より流動食を点滴注入した場合は、鼻腔栄養に準じて取り扱う。

6 特別料金の支払を受けることによる食事の提供

入院患者に提供される食事に関して多様なニーズがあることに対応して、患者から特別の料金の支払を受ける特別メニューの食事(以下「特別メニューの食事」という。)を別に用意し、提供した場合は、下記の要件を満たした場合に妥当な範囲内の患者の負担は差し支えない。
  • (1) 特別メニューの食事の提供に際しては、患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別メニューの食事が提供されることのないようにしなければならないものであり、患者の同意がない場合は食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額の支払を受けることによる食事(以下「標準食」という。)を提供しなければならない。また、あらかじめ提示した金額以上に患者から徴収してはならない。なお、同意書による同意の確認を行う場合の様式は、各医療機関で定めたもので差し支えない。
  • (2) 患者の選択に資するために、各病棟内等の見やすい場所に特別メニューの食事のメニュー及び料金を掲示するとともに、文書を交付し、わかりやすく説明するなど、患者が自己の選択に基づき特定の日にあらかじめ特別のメニューの食事を選択できるようにする。
  • (3) 特別メニューの食事は、通常の入院時食事療養又は入院時生活療養の食事の提供たる療養の費用では提供が困難な高価な材料を使用し特別な調理を行う場合や標準食の材料と同程度の価格であるが、異なる材料を用いるため別途費用が掛かる場合などであって、その内容が入院時食事療養又は入院時生活療養の食事の提供たる療養の費用の額を超える特別の料金の支払を受けるのにふさわしいものでなければならない。また、特別メニューの食事を提供する場合は、当該患者の療養上支障がないことについて、当該患者の診療を担う保険医の確認を得る必要がある。なお、複数メニューの選択については、あらかじめ決められた基本となるメニューと患者の選択により代替可能なメニューのうち、患者が後者を選択した場合に限り、基本メニュー以外のメニューを準備するためにかかる追加的な費用として、1食あたり17円を標準として社会的に妥当な額の支払を受けることができること。この場合においても、入院時食事療養又は入院時生活療養の食事の提供たる療養に当たる部分については、入院時食事療養費及び入院時生活療養費が支給されること。
  • (4) 当該保険医療機関は、特別メニューの食事を提供することにより、それ以外の食事の内容及び質を損なうことがないように配慮する。
  • (5) 栄養補給量については、当該保険医療機関においては、患者ごとに栄養記録を作成し、医師との連携の下に管理栄養士又は栄養士により個別的な医学的・栄養学的管理が行われることが望ましい。また、食堂の設置、食器への配慮等食事の提供を行う環境の整備についてもあわせて配慮がなされていることが望ましい。
  • (6) 特別メニューの食事の提供を行っている保険医療機関は、毎年7月1日現在で、その内容及び料金などを入院時食事療養及び入院時生活療養に関する報告とあわせて地方厚生(支)局長に報告する。